ピラティスは、身体のコア(体幹)を鍛え、姿勢改善や腰痛予防に効果的なエクササイズとして人気があります。
たくさんのポーズがありますが、安心してください。ピラティスは、いくつかの基本ルールと基本姿勢をマスターすれば、応用的なポーズもスムーズに行えるようになります。まずは、この解説でピラティスの「動きの地図」を手に入れましょう。
ピラティスで必ず押さえるべき「3つの基本要素」
ピラティスのポーズを効果的に行うために、まずは基礎となる3つの要素を理解しましょう。
1. ピラティスの基本姿勢:「ニュートラル」と「インプリント」
ピラティスでは、仰向けになったときに骨盤の位置を正確に保つことが非常に重要です。この骨盤の基本ポジションに、「ニュートラル」と「インプリント」の2種類があります。
姿勢 | 状態 | 目的 |
---|---|---|
ニュートラルポジション | 背骨が自然なS字カーブ(腰に手のひら1枚分の隙間がある状態) | 正しい姿勢の維持、体幹の安定性向上 |
インプリントポジション | 骨盤を後傾させ、腰をマットに押し付ける状態(腰の隙間を埋める) | 腹筋(腹直筋下部)の活性化、腰への負担軽減 |
エクササイズの目的やレベルに応じて、この2つのポジションを使い分けます。特に腰に不安がある初心者の方は、インプリントから始めることで、腰への負担を軽減し、腹筋(コア)を効果的に意識しやすくなります。
2. ピラティス特有の呼吸法:「胸式ラテラル呼吸」
ピラティスでは、胸郭(肋骨)を広げる胸式呼吸を行います。ヨガの腹式呼吸とは異なり、お腹を膨らませず、肋骨を風船のように左右、前後に広げるイメージで行います。
- 吸う(インヘール):鼻から息を吸い込み、肋骨を横に大きく広げます。
- 吐く(エクスヘール):口から息を長く吐き出し、肋骨を締めるように内側に引き寄せます。このとき、お腹をへこませてインナーマッスル(腹横筋)を意識的に使います。
この呼吸法を意識することで、動作中にコアを安定させ、エクササイズの効果を最大限に高めることができます。
3. すべての動作の基本「Cカーブ」
ピラティスの代表的な動作の一つがCカーブです。これは、腹筋の力を使って背骨を丸め、アルファベットの「C」の形にする姿勢です。
- やり方: 仰向けや座位から、息を吐きながらへそを背骨に引き寄せるように腹筋を使い、骨盤を後傾させ、背骨を下から順番に丸めます。
- 効果: 深層部の腹筋群(特に腹直筋)を強化し、背骨の柔軟性を高めます。
【主なポーズ一覧】目的別・レベル別 おすすめピラティスエクササイズ
ここからは、マットピラティスの中から、特に目的別に効果の高いポーズをピックアップしてご紹介します。ご自身の悩みに合わせてチャレンジしてみてください。
✅姿勢改善・腰痛予防に効果的なポーズ(背骨の柔軟性)
- ペルビック・ブリッジ(Pelvic Bridge): 仰向けから骨盤を少し持ち上げ、背骨を下から一つずつ持ち上げていく動作。背骨の関節一つ一つを動かす(アーティキュレーション)練習になり、体幹の安定性と背骨の柔軟性を向上させます。
- キャット・ストレッチ(Cat Stretch): 四つ這いになり、背骨を丸める(Cカーブ)と反らせる(伸展)を繰り返す動作。腰痛の軽減や猫背の改善に効果的です。
- スパイン・ストレッチ・フォワード(Spine Stretch Forward): 長座(脚を伸ばして座る)からCカーブで前屈する動作。背中全体のストレッチとコアのコントロールを同時に行います。
✅お腹・体幹の引き締めに効果的なポーズ(コア強化)
- ハンドレッド(The Hundred): 仰向けで頭と肩甲骨を少し持ち上げ(チェストリフト)、腕を上下に細かく動かしながら、100回呼吸する動作。ピラティスを代表するポーズで、**腹部全体のインナーマッスル**を強力に強化します。
- チェスト・リフト(Chest Lift): 仰向けで両手を頭の後ろに組み、息を吐きながら胸を持ち上げる動作。最も基本的な腹筋のエクササイズで、深い腹筋の活性化を促します。
- テーブルトップ・ポジション(Table Top Position): 仰向けでひざを90度に曲げ、太ももを垂直に上げる姿勢。この基本姿勢を安定させるだけでも、インナーマッスルが活性化されます。
✅バランス感覚・全身調整に効果的なポーズ
- シングル・レッグ・ストレッチ(Single Leg Stretch): 仰向けで片足を胸に引き寄せ、反対の足を伸ばす動作を交互に行います。コアの安定性を保ちながら、手足の協調性を高めます。
- ハーフ・ポインター(Half Pointer): 四つ這いから、片腕と反対側の脚を同時に床と平行に伸ばす動作。バランス感覚と体幹の安定性を養うのに最適です。
- プランク(Plank): 体全体を一直線にして支えるプランクポジション。全身のインナーマッスルを総動員し、体幹の持久力を向上させます。
マシンピラティスのポーズとメリット
ピラティスには、マットで行うエクササイズの他に、リフォーマーなどの専用マシンを使う方法があります。マシンを使うことで、初心者の方でも正しいフォームを維持しやすくなります。
代表的なマシン「リフォーマー」でできるポーズ
リフォーマーは、可動式の台(キャリッジ)とバネ(スプリング)を使い、負荷を調整しながらエクササイズを行います。代表的なポーズには以下のようなものがあります。
- フットワーク(Footwork): 仰向けで足をフットバーに乗せ、脚を押し伸ばす動作。股関節や太ももの筋肉を強化し、アライメント(骨の並び)を整えます。
- ロング・ストレッチ(Long Stretch): プランクに似た姿勢で、キャリッジを前後にスライドさせる動作。全身のコアと腕の筋力を強化し、マットでのプランクよりも不安定なため、より高い集中力が求められます。
- マーメイド(Mermaid): 座位でサイドストレッチを行う動作。上半身の柔軟性、特に肋骨周りや肩甲骨の可動域を広げ、深い呼吸を促進します。

マシンピラティスのメリット
- 負荷の調整が可能: スプリングで負荷を自由に調整できるため、筋力のない初心者から上級者まで、個人のレベルに合わせたトレーニングが可能です。
- 正確な動きをサポート: マシンの構造が正しい姿勢をガイドしてくれるため、間違ったフォームになるのを防ぎます。
- 幅広い動きに対応: マットでは難しい、多様な方向への複雑な動きやストレッチも安全に行えます。
マシンピラティスについてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
ピラティスの難易度や効果的な進め方に関してはこちらの記事で詳しく紹介しています。
ピラティスを始めるなら「オンラインレッスン」もおすすめ
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自宅にいながら、プロのインストラクターによる指導を受けられるため、正しいフォームや呼吸法を基礎から学ぶことができます。ポーズ名や用語に慣れるためにも、まずは動画で動きをチェックしてみるのが良いでしょう。
まとめ|基本ポーズをマスターしてピラティスを深めましょう
ピラティスには数多くのポーズがありますが、その土台となるのは「ニュートラル」「インプリント」といった基本姿勢と、「胸式呼吸」といった呼吸法です。
まずはここでご紹介した基本動作を繰り返し練習し、ご自身の身体がどのように変化するかを観察してみてください。すべての動作をコントロールし、集中力を高めて行うことで、ピラティスの効果を最大限に実感できるはずです。
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